シナリオプランニング研修は、自社を取り巻く環境が今後どう変わり得るかを複数のシナリオとして描き、戦略や計画づくりに生かす力を養う研修です。未来を一つに予測するのではなく、起こり得る未来の幅を広げて考える点に特徴があります。
先行きを見通しにくい環境では、前年の延長で立てた計画が、想定外の変化によって通用しなくなることがあります。複数のシナリオを持っておけば、どの未来になっても必要な打ち手に優先して取り組めるようになり、変化が起きたときにも組織として素早く判断しやすくなります。
本記事では、シナリオプランニング研修の目的や身につく力、進め方、導入時に直面しやすい課題、外部研修会社を活用するメリットまでをまとめました。
「シナリオプランニング研修」と検索して表示された上位10サイトの中から、公式サイトでシナリオプランニング研修を提供していることが確認できた会社を掲載しています。(2026年9月29日時点)
オーセンティックワークスのシナリオプランニングは、起こってほしい未来や、なるだろうと予想する未来、あるべき未来ではなく、「起こり得る」未来を見通す幅を広げることを目指しています。自社の事業環境を左右する要因の中から、先行きが読めず、かつ影響の大きいものを選んで複数のシナリオを描き、どのシナリオになっても優先して取り組むべき課題を見極めていきます。
ねらいは、目標を設定してそこに向かうだけの計画づくりから抜け出し、環境の変化に柔軟に対応できる計画を組織として描けるようになることです。描いたシナリオを共通認識として持っておくことで、実際に変化が起きたときにも、どのシナリオに近づいているのかを共有しながら素早く合意形成しやすくなります。
同社は、シナリオを描く作業を、参加者の視座を高め、組織の共通言語をつくる対話の場として設計します。導入事例では、本部長から部長、課長までが縦断で参加し、組織の未来像を描くワークショップ、シナリオプランニングのセッション、変革課題を設定するワークショップを段階的に実施しています。
シナリオプランニングのセッション期間中は個別のコーチングも組み合わせ、参加者の状況に合わせてプログラムを柔軟に変えながら進めるオーダーメイド型です。上から示された計画をなぞるのではなく、自分たちの手で中期経営計画を描けるようになりたい組織に適した支援です。
経営陣や管理職層を対象に、中長期的な環境変化を多角的に分析し、柔軟に対応できる戦略やビジネスモデルを描けるマネジメント人材の育成を目指すプログラムです。社長への相談とチーム編成、面談やデータ分析による組織状況の確認から始まり、キックオフ後に4回の検討会議を重ね、合同プレゼンテーションを経て事業方針や計画への反映までを進めます。事前課題、講義、ワークショップを繰り返す進め方で、コンサルタントが認知の偏りの解除や、現状の延長線上で考える思考からの脱却を支援し、「議論」ではなく「対話」の場をつくる点が特徴です。
経営企画や調査、研究開発、マーケティング部門の担当者、中長期の事業戦略を考える立場の人に向けた講師派遣型の研修です。将来を予測するのではなく、複数の未来を構想し、そこから戦略を描くことを学びます。PEST分析やSTEEP分析などの外部環境分析、不確実性マトリックスの考え方を学んだうえで、インパクトと不確実性の観点から要因を整理し、複数の未来シナリオを策定します。最終回では、シナリオから機会と脅威を分析し、経営層への説明資料とロードマップにまとめて模擬プレゼンテーションまで行います。
シナリオプランニングを軸に、組織の未来づくりを支援している会社です。手順や知識だけでなく、実際に手を動かしながら学ぶことを重視した実践中心の講座を、基礎編と実践編に分けて提供しています。企業向けには、中期経営計画や戦略立案、ビジョン・パーパスの策定、事業企画の検討支援のほか、社員の対話から組織の未来像を描くワークショップや、次世代リーダー育成プログラムにも対応しています。
企業の経営層や次世代リーダーを対象に、複数の未来シナリオを描き、バックキャスティングで戦略の選択肢を考える研修です。想像力や洞察力を養い、外部環境を深く読み解きながら自社の可能性を見いだしていきます。約3時間の体験講座から1日講座、業界別のシナリオプランニング、約6か月かけて取り組む次世代リーダー育成プロジェクトまで、目的に応じたプログラムを選べます。
シナリオプランニングとは、自社を取り巻く環境が今後どう変わり得るかを複数のシナリオとして描き、それをもとに戦略を考える手法です。社会、技術、経済、環境、政治などの幅広い分野から変化の要因を洗い出し、なかでも不確実性が高く影響の大きい要因を軸にして、起こり得る未来を複数描きます。
この手法を講義とワークを通じて学び、自社の戦略や中期経営計画、事業計画づくりに生かせるようにするのが、シナリオプランニング研修です。
シナリオプランニングの原型は、第二次世界大戦後の米国空軍による軍事計画の研究にさかのぼるとされています。
ビジネスの分野では、1970年代にロイヤル・ダッチ・シェルが石油危機を想定したシナリオを描き、その後の環境の変化に効果的に対応した事例がよく知られています。
未来予測は、最も起こりそうな未来を一つ見通し、それに備える考え方です。一方でシナリオプランニングは、どの未来が起こるかを当てることを目的とせず、起こり得る未来の幅を広げて考えます。
また、通常の計画づくりでは、目標から逆算して一本の計画を立てることが一般的です。シナリオプランニングでは、どのシナリオになっても必要な打ち手と、特定のシナリオに備えておく打ち手を分けて考えるため、変化に応じて計画を柔軟に見直せます。
市場や技術、社会の変化が速い環境では、過去の実績をもとに翌年の計画を立てる方法だけでは、変化に対応しきれない場面が増えています。
複数の未来を想定したうえで計画を立てておけば、前提が変わったときにも慌てずに打ち手を切り替えられます。
環境の変化をどう捉えるかが人によって異なると、変化が起きたときに、対応の方向性をそろえるまでに時間がかかります。
組織として描いたシナリオを共有しておけば、「今どのシナリオに近づいているのか」を共通の言葉で話し合えるため、合意形成と対応のスピードが上がります。
シナリオを描く過程では、自部門の業務だけでなく、業界や社会の大きな変化に目を向ける必要があります。
日々の業務に追われがちな管理職にとって、中長期の視点で自社の未来を考える経験は、視座を高め、全社的な視点で判断する力を養う機会になります。
シナリオプランニングの出発点は、自社の外で起きている変化に目を向けることです。
研修では、PESTやSTEEPといったフレームワークを使い、社会、技術、経済、環境、政治などの観点から、自社に影響を与え得る変化の要因を幅広く洗い出す方法を学びます。
洗い出した要因を、影響の大きさと不確実性の高さで整理し、シナリオの軸となる要因を選びます。
一般的には、2つの軸を掛け合わせてできる4つの象限をもとに、それぞれの未来がどのような世界になるのかを具体的に描いていきます。どの要因を軸に選ぶかがシナリオの質を左右するため、研修ではその見極め方をワークを通じて身につけます。
シナリオは描いて終わりではなく、そこから打ち手を導き出して初めて意味を持ちます。
研修では、各シナリオで想定される機会と脅威を整理し、どのシナリオになっても取り組むべきことと、特定のシナリオに備えて準備しておくことを分けて考えます。そのうえで、中期経営計画や事業計画、部門の行動計画に反映させる方法を学びます。
株式会社日立製作所の金融システム第二本部では、次の中期経営計画の策定を控え、上層部から示された内容に沿うだけの受け身の計画では成長に限界があるという危機感を抱いていました。そこで、本部長から部長、課長までが縦断で参加し、組織のありたい姿を描いたうえでシナリオプランニングに取り組むプロジェクトを実施しています。
プロジェクトでは、ありたい姿を描くワークショップから始め、どちらに転ぶか分からない将来に対して、どちらに転んでもやっておくべきことを見極めるために、複数パターンのシナリオを作成しました。その後の中期経営計画には「5年後・10年後のありたい姿を描く」という項目が加わりました。プロジェクト終了後のフォローアップでは、社内サーベイにおける同本部のエンゲージメントスコアが前回比8.6ポイント改善したことも確認されています。
住友ゴム工業株式会社のSCM本部では、目先の数値目標に追われて中長期の計画を考える時間を確保できないことや、コロナ禍による業界構造の変化への備えが課題となっていました。そこで2022年から、3か年計画でシナリオプランニングを身につけ、中期経営計画に生かすことを目的に研修を導入しています。
1年目は国内外の約30名が講義を受講し、2年目は参加者を神戸本社のメンバーに絞り、経理部門からも参加者を加えたうえで、2チームに分かれて毎週の自主活動を重ね、半年後に発表会を開きました。3年目はマネジメント層も初期段階から参加し、2つの軸から明確に違いのある4つの未来シナリオを描いています。社内ではシナリオプランニングの用語が共通言語となり、中長期の視点で考える姿勢が根づきつつあります。
従業員230名の塗料製造業の事例です。同社では、環境の変化を先読みし、的を射た課題を見いだす力の不足が課題となっていました。
シナリオプランニングの導入を通じて、管理職の視座が高まり、長期的な視点を持てるようになったといいます。また、経営への依存体質が改善して意思決定の分散化が進んだほか、想定していなかったリスクへの全社的な対策や、新しい分野でのテストマーケティングにも着手しています。
シナリオプランニング研修は、企業ごとのテーマや参加者に合わせて設計する講師派遣型やプロジェクト型が多く、料金は個別見積もりが中心です。
公開セミナーの例としては、日本能率協会の「バックキャスティング思考」習得セミナー(旧名称:シナリオプランニング入門セミナー)が71,500円(税込)/1名・1日(オンライン)となっています。(2026年9月時点)
中期経営計画の策定と連動させるプロジェクト型の支援は、検討会議の回数や期間、参加人数によって費用が大きく変わります。複数社から見積もりを取り、支援の範囲とあわせて比較するとよいでしょう。
シナリオプランニングは、半日から1日で手法に触れるものから、半年以上かけて中期経営計画の策定まで伴走するものまで幅があります。期間が長く、検討の回数が多いほど、コンサルタントやファシリテーターの関与が増えるため、費用は大きくなります。
また、外部環境の調査や業界動向の情報提供、経営層へのプレゼンテーションの準備支援、個別コーチングを組み込む場合も費用が加算されます。費用の考え方は、組織改革コンサルの費用相場のページでも詳しく紹介しています。
まずは、シナリオプランニングを何に生かすのかを明確にします。中期経営計画の策定なのか、新規事業の検討なのか、管理職の視座を高めることなのかによって、描くべきシナリオの範囲や期間が変わります。
あわせて「10年後、自社の事業を取り巻く環境はどうなっているか」のように、シナリオを描くための問いを設定しておくと、議論の焦点が定まります。
シナリオプランニングの成果を計画に生かすには、最終的に判断を下す立場の人が検討に関わっていることが重要です。
経営層や本部長などの意思決定者と、現場をよく知る管理職や担当者が一緒に参加することで、描いたシナリオへの理解がそろい、計画への反映もスムーズになります。
次に、外部環境の変化要因を洗い出し、影響の大きさと不確実性の高さで整理します。不確実性が高く影響の大きい要因を軸に選び、それぞれの未来がどのような世界になるのかを具体的に描いていきます。
軸の捉え方は人によって異なりやすいため、参加者同士で丁寧にすり合わせることが大切です。
描いたシナリオをもとに、どの未来になっても取り組むべきことと、特定のシナリオに備えておくことを整理します。
そのうえで、中期経営計画や事業計画、部門の行動計画に落とし込み、どのシナリオに近づいているかを確かめるための指標もあわせて決めておきましょう。
シナリオを描くとき、無意識のうちに自分たちにとって都合のよい未来や、起こりそうだと思い込んでいる未来に引き寄せられてしまうことがあります。
シナリオプランニングで描くのは、願望や予想ではなく「起こり得る」未来です。あえて望ましくない未来も含めて描くことが、備えの幅を広げます。
同じ軸を使っていても、参加者によって見立てが異なると、描かれるシナリオの理解もずれていきます。参加人数が多いほど、そのずれは大きくなりがちです。
何がずれの原因になっているのかを話し合い、言葉の定義をそろえていくプロセスそのものが、組織の共通言語をつくることにもつながります。
時間をかけてシナリオを描いても、計画や日々の判断に生かされなければ、検討は一度きりのイベントで終わってしまいます。
シナリオを計画に反映する場や、定期的に環境の変化を確認してシナリオを見直す機会を、あらかじめ進め方に組み込んでおくことが重要です。
社内だけでシナリオを描くと、業界の常識や過去の成功体験にとらわれた未来像になりがちです。
外部の研修会社は、認知の偏りに気づかせる問いや、社外の動向に関する情報を提供してくれるため、これまで考えてこなかった観点から未来を描きやすくなります。
シナリオプランニングでは、立場の異なる参加者が意見を出し合い、見立てのずれをすり合わせていく対話のプロセスが欠かせません。
経験のあるファシリテーターが場を設計・進行することで、役職にとらわれずに率直な意見が出やすくなり、議論を深められます。
シナリオを描く手法を学んでも、実際の計画に反映する段階で行き詰まる企業は少なくありません。
研修会社によっては、シナリオの作成から中期経営計画や事業計画への反映、経営層への提案まで伴走してくれます。手法の習得だけでなく、実際の計画づくりにつなげたい企業にとって有効です。
現場の管理職だけでシナリオを描いても、経営の判断に反映されなければ、参加者の意欲は続きません。
意思決定者が検討の初期から関わり、描いたシナリオをもとに判断する姿勢を示すことが、取り組みの成果を左右します。
シナリオプランニングは、一度の研修で使いこなせるようになる手法ではありません。
最初は手法を学び、次は自社のテーマで実践し、さらに計画に反映するというように、段階を踏んで習熟していくことを前提に計画を立てましょう。
複数の未来を描くだけでは、どの方向に進むべきかは決まりません。
自分たちがどのような組織でありたいかというビジョンとあわせて考えることで、どのシナリオになっても自分たちらしく進むための打ち手を導きやすくなります。ビジョンづくりの進め方については、ビジョン共創ワークショップのページもあわせてご覧ください。
組織変革に向けた研修は、対象者や課題によって選ぶべき内容が変わります。
管理職育成、次世代リーダー育成、理念浸透、部門間連携、1on1の定着など、目的に合った研修を選ぶことが重要です。
研修会社を比較しながら、自社の課題に合う支援先を探したい方は、組織変革研修の種類やおすすめの研修会社をまとめたページをご覧ください。