日本能率協会の調査によると、「次世代経営人材が育っていない」は2年連続で企業の組織課題1位に挙げられています。視座の向上は、リーダー人材育成において最も難しく、かつ重要なテーマの一つです。
「管理職に経営視点を持ってほしいが、なかなか育たない」「社員は言われたことを真面目にこなすが、3年後・5年後を見据えた行動ができていない」──こうした悩みを抱える経営者・人事担当者は多くいます。
視座の向上は、しばしば「優秀な個人が自然に身につけるもの」として語られます。しかし実際には、個人の資質よりも組織の構造が視座の高低を決定づけていることが多くあります。視座が上がらない本当の原因と、組織として視座向上を実現するアプローチを解説します。
「視座」「視点」「視野」はいずれも「ものの見方」に関わる言葉ですが、その意味は異なります。
三者の中でも視座は特に重要です。視座が変わると、見える景色そのものが変わります。現場担当者の視座では「目の前の業務をいかに効率化するか」が課題になりますが、経営者の視座では「業務の目的そのものを再定義すべきか」という問いが生まれます。
変化が激しい経営環境において、課題の本質を捉え先を見通す力が、すべての階層のリーダーに求められています。現場の管理職が「今期の数字をどう達成するか」だけに目を向けていると、組織は対症療法の繰り返しに陥りやすくなります。
成人発達理論(ロバート・キーガン)によれば、ビジネスパーソンの約70%は「環境順応型」の知性段階にあり、自ら構造を問い直す力の獲得には意図的な働きかけが必要とされています。視座の向上は、こうした発達段階を促進するための取り組みとして、人材育成・管理職研修の観点からも注目されています。
視座の低さを「あの管理職は器が小さい」「経営センスがない」と個人の資質に帰してしまうことは、問題の本質を見誤ります。ヒエラルキー型の組織構造そのものが、視野狭窄社員を生産し続ける仕組みを内包しています。
圧倒的な視座を持つトップが次々と新しい方向性や指示を出すと、中間層はその指示を理解するより前に細分化して下に伝えていきます。その結果、現場は「どうすればその指示を素早くこなせるか(How思考)」に終始し、「なぜその指示でなければならないのか(Why思考)」を問う力が育ちません。
マネジメントの現場でよく語られるこの言葉が示すように、組織の最上位に位置する社長の視座は、構造的に突出して高くなりやすいものです。
社長には「答えのないところに答えを出す」プレッシャーが常にかかります。このプレッシャーが社外の有識者との交流を促し、質の高い議論を繰り返す機会を生み出します。一方、部下は指示を処理することに追われ、同様の経験を積む機会が得られません。
さらに、自分より視座の高い上司のもとでは部下は全力を出しにくくなります。一方、部下より視座が低い上司のもとでは、優秀な人材が力を発揮できずに離れていくという構造が生まれます。
ヒエラルキー型組織では、トップダウンの指示が階層を下るにつれて細分化されます。このプロセスが繰り返されると、現場の社員は「与えられた仕事をいかにこなすか」だけを考えるようになります。
「なぜこの仕事が必要か」「全体としてどう機能しているか」を問うWhy思考が育たないと、視座を高めるための経験が積み重なりません。結果として、視野狭窄の状態が組織全体に広がっていく可能性があります。
視座が低い状態を改善するには、単に「経営視点を持とう」と伝えるだけでは不十分です。本人の意識だけに任せるのではなく、組織として視座が上がる経験を設計する必要があります。
ここでは、管理職や次世代リーダーの視座向上につながる3つの秘訣を解説します。
視座を高めるためのプログラムでは、仮想のケースワークや概念的な経営手法の学習が使われることがあります。しかし、「自分とは離れた」題材では、学んだことが日常業務に転用されにくいものです。
自分たちが現在取り組んでいる「重要かつ緊急な問題」や「根深い問題」を素材にすることで、参加者は自分ごととして考えやすくなります。その結果、持続的なコミットメントが引き出されやすくなります。
成果プレッシャーにさらされていると、目の前の問題の対処に追われやすくなります。しかし問題は、どこかから突然やって来るのではなく、さまざまな関係性や仕組みの中で生じています。
個別具体的な事象の解決に集中するだけでなく、一歩下がってその事象を生み出している「構造」に着目することが重要です。状況の認識地図を広げることが、視座向上の核心となります。
視座は、知識や研修だけで身につくものではありません。経験によって獲得される側面が大きいため、慣れ親しんだ環境から一歩踏み出す機会を意図的に設計することが求められます。
異職種・異業界との交流、職域を越えたプロジェクトへの参加、社外有識者との対話など、日常業務の外側で視座を広げる場を用意することが、継続的な視座向上につながります。
視座向上のためには、「実課題を題材にする」「事象を生むつながりに着目する」「新しい経験機会を創出する」という3つの考え方が重要です。
しかし、実際に社内で進めようとすると、次のような壁にぶつかることがあります。
このような悩みは、本人の意識や能力だけで解決できるとは限りません。上司と部下の関係性、意思決定の構造、日常業務で求められる役割によって、視座が上がりにくい状態が固定化されている場合があるためです。
「もっと経営視点で考えてほしい」と伝えるだけでは、管理職や次世代リーダーの見えている景色は変わりません。視座を高めるには、本人が一段上の立場から物事を捉え直す経験を、組織として設計する必要があります。
オーセンティックワークス株式会社は、個人と組織の意識変容を通じて、組織変革を支援するコンサルティング会社です。
同社の視座向上支援は、一般的な研修のように知識を学んで終わるものではありません。成人発達理論やシステム思考をベースに、参加者が実際に抱えている問題を題材にしながら、ものの見方・捉え方そのものを変えていくプロセスを設計します。
たとえば、目の前の業務課題に対して「どう解決するか」だけを考えるのではなく、「なぜその問題が繰り返し起きるのか」「自部署だけでなく、組織全体では何が起きているのか」といった問いに向き合う機会をつくります。
これにより、参加者は現場担当者や管理職としての視点だけでなく、より大きな構造から課題を捉える経験を積みやすくなります。
こうした状態を放置すると、管理職や次世代リーダーに期待しているにもかかわらず、会議で出てくる発言や判断が「今できること」「自部署に閉じたこと」に偏りやすくなります。
視座を高めるには、本人の意識を変えるだけでなく、上位の立場から考える経験を意図的につくることが重要です。
視座向上が難しいのは、本人にやる気がないからとは限りません。むしろ、日常業務の中で「上の立場から考える経験」が不足しているために、視座を高めるきっかけを得られていないケースがあります。
オーセンティックワークスでは、対象となる階層や組織課題に応じて、視座向上のプロセスを設計します。自社の実課題を扱いながら、問題を生み出している構造や関係性に目を向けることで、参加者が自分ごととして考えやすい状態をつくります。
オーセンティックワークスの視座向上支援では、知識を一方的に学ぶのではなく、自社の実課題を題材にしながら、参加者がより高い立場から物事を捉え直す経験を設計します。
目の前の問題を「どう解決するか」だけでなく、「なぜその問題が起き続けているのか」まで考えられる状態を目指せる点が特徴です。
管理職や次世代リーダーの視座を高めたいものの、自社だけでは進め方が見えない場合は、まずは視座が上がりにくい要因を整理することから始めてみてはいかがでしょうか。
オーセンティックワークス株式会社は、個人と組織の意識変容を通じて、組織変革を支援するコンサルティング会社です。
研修やワークショップの実施にとどまらず、組織の構造的な問題に踏み込んだ支援を行っている点が特徴です。当事者意識の向上、視座向上、エンゲージメント向上など、従来の人材育成だけでは解決しにくい課題に対して、理論と実践を組み合わせたアプローチで支援しています。
オーセンティックワークス公式HPで
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視座の低さは、個人の能力や器の問題ではなく、組織の構造とマネジメントが生み出している場合が多くあります。ヒエラルキー型組織の仕組みそのものが視野狭窄社員を生産し続けていることを認識することが、変革の第一歩となります。
視座の向上は、実課題への取り組み・つながりへの着目・新しい経験の蓄積というプロセスを通じてのみ実現されます。こうした変革には外部の客観的な視点が有効なケースも多く、実績のあるコンサルタントへの相談が変革を加速させることがあります。