管理職になりたくない社員が増える理由とは?

「管理職を打診しても断られる」「候補者の顔ぶれがいつも同じ」。人事担当者から、こうした声が聞かれるようになりました。背景にあるのは、社員の意欲の低下だけではありません。管理職という役割そのものの見え方が、変わりつつあるのです。

本記事では、管理職になりたくない社員が増える理由を調査データで整理します。人事が取り組める5つの対策と、研修を活用するときの考え方も解説します。

管理職になりたくない社員はどのくらいいるのか

労務SEARCHが2026年2月から3月に、企業で働く会社員300人へ調査を行った結果、63.3%が将来の管理職就任に「あまりなりたくない」と答えています。一方で「なりたい」は36.7%にとどまります。(※1)

調査データで見る管理職離れの実態

同じ調査で、自社の管理職が「罰ゲーム化」していると感じる人は56.7%でした。内訳は「ある程度感じる」が45.7%、「非常に感じる」が11.0%です。(※1)管理職が罰ゲームのように見えている組織では、昇進の打診が魅力的な提案として届きにくくなります。

若手に絞った調査もあります。EYストラテジー・アンド・コンサルティングと立教大学は、2024年3月に22〜35歳の非管理職正社員2,071人を調べました。(※2)管理職志向が高い層は26%、低い層は48%です。

昇進の打診を断る人も多い

ビズヒッツが2022年10月に会社員500人へ行った調査では、昇進を打診されたときの対応として「断る」が6割を超えました。(※3)打診の段階で断られるなら、育成の入り口で候補者が減っていることになります。

管理職になりたくない主な理由

各調査を並べると、理由は4つに分けられます。責任の重さ、処遇、業務量、管理職という仕事への印象です。

責任やプレッシャーが増えるわりに、報酬が見合わない

労務SEARCHの調査で最も多かった理由は、「責任・プレッシャーが増えるから」の52.3%です。(※1)ビズヒッツの調査でも、男女ともに「責任が重い」が1位でした。男性では「割に合わないと感じる」が2位に入っています。(※3)

マイナビキャリアリサーチLabの記事は、役職についていない20代正社員の認識として、「出世しても給与があまり変わらない」を挙げています。(※2)責任の増え方に対して、処遇の伸びが小さく見えている状態です。

長時間労働とプレイングマネージャー化への不安

責任の重さに次いで目立つのが、仕事量への不安です。労務SEARCHの調査で「管理職になりたくない理由」を尋ねたところ、2位は「長時間労働になりそうだから」の33.3%でした。3位の「部下育成や人間関係が面倒だから」も32.0%で、ほぼ同じ水準です。

例えば、課長が自分の営業目標を持ちながら、5人の部下の1on1と月次評価も担う場面を想像してみてください。実務と管理の両方に時間が足りず、残業で埋めることになります。この姿を見た若手が「あの働き方は避けたい」と感じるのは自然な反応です。

身近な上司が大変そうに見える

マイナビの記事には、「管理職がいつも大変そう」という印象も理由の一つとして挙げられています。若手は、最も身近な管理職である自分の上司を見て、将来の姿を思い描くものです。上司が疲れた顔で残業していれば、その姿が「管理職のイメージ」として定着します。

管理職の仕事が理解できていない

EYの調査では、次の認識が管理職志向を下げる要因として示されました。「メンタルを犠牲にする」「会社への思い入れがない」「管理職の仕事が理解できていない」の3つです。

管理職の1日や、チームで成果を出す手応えを知る機会がなければ、「責任が重そう」「大変そう」という印象だけが先に立ちます。仕事の中身が見えないことも、理由の一つです。

管理職離れを放置すると組織に起きること

次世代リーダー不足と、管理職の負担増の悪循環

候補者が減ると、いまの管理職が異動や退職で抜けたときの補充が難しくなります。残った管理職の担当部下が増え、負担はさらに上がります。負担が増えるほど「管理職は大変」という印象が強まり、次の候補者がまた減る流れです。

この悪循環に入ると、個々の管理職の努力だけでは抜け出せません。中間管理職の疲弊については、ミドルマネジメントが疲弊する原因で詳しく解説しています。

ミドルマネジメントが疲弊する原因
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離職や「静かな退職」とのつながり

管理職への道が魅力的に見えない組織では、成長の見通しを描けない社員が増えがちです。昇進以外のキャリアも示されなければ、意欲を保てない社員は、転職を考えるか、契約上の業務のみをこなす働き方を選びやすくなります。後者については、静かな退職の原因と対策も参考になるでしょう。

人事が取り組むべき5つの対策

調査から見えた理由の4つに対応させて、5つの対策を整理しました。

①管理職の役割と評価基準を明確にする

最初に取り組みたいのは、管理職の仕事を言葉にすることです。「課長の仕事は何か」「何をもって成果とするか」を1枚の資料にまとめ、昇進候補者へ事前に渡してください。EYの調査も、役割や評価基準の明確化と周知を、組織レベルの施策に挙げています。

実務の成果とマネジメントの成果が混ざった評価は、見直しの対象です。役割が曖昧なまま育成を進めて失敗する構造は、管理職育成が失敗する原因でも整理しています。

管理職育成が失敗する原因
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②責任に見合う処遇に見直す

処遇の差は、数字で確かめられます。管理職は時間外手当の対象外となる企業が多いため、昇進前の残業代を含めた年収と、昇進後の年収を比べてみましょう。昇進後のほうが下回るケースがないか、試算から始めるのが現実的です。職責に見合う報酬水準の設定は、EYの調査でも施策の一つに含まれています。

③プレイングマネージャー前提の業務設計を見直す

着手点は、管理職ごとの担当部下数と、自分の実務が占める比率の棚卸しです。数字が出れば、負担が偏っている管理職も見えてきます。プレイングマネージャーを前提とした働き方の見直しは、マイナビの記事でも提言されています。

実務の一部をメンバーへ移したり、事務作業を支援する担当を置いたりする方法があります。育成や面談に使う時間は、あらかじめ業務時間へ組み込んでおくとよいでしょう。

④管理職同士の相談ネットワークをつくる

たとえば月1回、30分程度の集まりを設け、評価の悩みや部下対応の事例を共有する形が考えられます。孤立を防げれば、「管理職は一人で抱える仕事」という印象は和らぐはずです。EYの提言には、相談ネットワークの構築に加えて、業務負荷のモニタリングも含まれています。

⑤昇進前にマネジメントを体験できる機会とキャリアの選択肢を用意する

昇進の前にプロジェクトリーダーや新人のOJT担当を任せ、チームで成果を出す手応えを経験してもらうのが一案です。入社数年目だけでなく、30代や40代になってから手を挙げる道を残しておく考え方は、マイナビの記事でも示されています。

「自分には向いていない」という声には、すでに持っている調整力や傾聴力が管理職でどう生きるかを、言葉にして伝えましょう。既存スキルの言語化は、HISの法人向けコラムでも対策の一つです。管理職を選ばない社員には、専門職コースなど別の道も用意しておきたいところです。

管理職の魅力を高めるには研修・外部支援も有効

ここまでの5つは、社内の制度設計が中心です。役割の理解を深めたり、部下との対話の型を学んだりする場面では、研修が力を発揮します。

研修で扱いたい内容

  • 管理職の役割と、プレイヤー時代との違いの整理
  • 1on1やフィードバックなど、部下育成の基本
  • 評価、ハラスメント防止、労務対応の基礎知識

外部の研修会社を選ぶときの視点

外部の研修会社は、自社だけでは気づきにくい課題を整理してくれる点が魅力です。選ぶときは、研修単体のカリキュラムより、研修後に現場の行動が変わる設計かどうかを見ます。事前の課題ヒアリング、研修後のフォロー面談、自社の評価制度との連動の3点を、提案の段階で聞いておくと、比較しやすいでしょう。

新任管理職研修の
目的と内容を見る

管理職向けマネジメント研修の
内容を見る

まとめ
管理職離れを
組織の仕組みから見直す第一歩

管理職になりたくない社員が増えている背景には、個人の意欲だけでなく、管理職という役割の設計があると考えられます。責任の重さ、処遇、業務量、管理職像の4つに、1つずつ手を打つことが出発点です。

まずは自社の管理職の担当部下数と月平均の残業時間を洗い出し、役割・評価・処遇を連動させて見直しましょう。自社だけで進める場合は、課題の客観視や制度設計の専門性が不足し、期待した効果を得られないリスクもあります。

そこで、組織改革コンサルの力を借りるのも選択肢の一つです。客観的な分析と専門的なノウハウを取り入れることで、自社だけでは気づきにくい課題の整理や制度設計を進めやすくなります。

支援領域や得意分野は、会社ごとに異なります。解決したい課題に合うパートナーを見つけるために、各社の支援内容や実績を比較してみてはいかがでしょうか。

課題から選ぶ
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次世代経営基盤の構築
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学術理論をベースに
思考レベルを引き上げ、
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オーセンティックワークス
オーセンティックワークス
引用元:オーセンティックワークス公式HP
(https://www.authentic-a.com/)
こんな組織におすすめ
  • 会議で本音が出ない、
    現状維持の社内風土
  • 1on1や評価制度の見直し
    をしても、変化が一時的
  • 管理職研修をしても
    効果がなかった

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人事制度の見直し
を目指すなら
制度の“形骸化”から脱却し
信頼感ある評価制度づくりを
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リクルートマネジメント
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引用元:リクルートマネジメントソリューションズ公式HP
(https://www.recruit-ms.co.jp/strength/)
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採用戦略の再構築
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求める人材像の再定義から
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タナベコンサルティング
タナベコンサルティング
引用元:タナベコンサルティング公式HP
(https://www.tanabeconsulting.co.jp/)
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  • 自社に合う人材像が定まらず、
    採用後のミスマッチが多い
  • 教育体系が属人的で、社員の成長が組織の戦略と結びついていない

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