面談や社内調査で、若手と管理職のすれ違いを耳にする機会が増えていませんか。「指示の背景を聞かれて戸惑う」「若手が何を考えているのか分からない」といった声は、人事のもとにも届いているはずです。
本記事では、職場の世代間ギャップが埋まらない原因を、価値観の優先順位から整理します。個人の歩み寄りに頼らず、人事が組織として進める対策も紹介します。
会議で若手が発言しない。指示を出すと、理由を聞き返される。管理職は「最近の若手は扱いにくい」とこぼし、若手は「上司に相談しづらい」と感じている。
職場の世代間ギャップとは、年齢や育った時代の違いによって、仕事の進め方や考え方にズレが生じている状態です。問題の根は、話題や言葉遣いの違いにとどまりません。
ビズヒッツは、20代以上の働く男女498人に調査を行いました(2022年9月)。年上の世代に感じるギャップの1位は「日常会話の話題が合わない」で、回答数は202人です。2位は「仕事への姿勢が違う」で、107人でした。
話題のズレは、雑談の工夫でも埋められます。仕事への姿勢のズレは、指示の出し方や評価の受け止め方に直結し、業務の進み方に影響します。人事が目を向けたいのは、こちらのズレです。
現場では、次のような場面でズレが見えやすくなります。
どちらかが間違っているわけではありません。前提が違うため、同じ場面を別の意味で受け止めています。
「若手に合わせてほしい」「上司に理解してほしい」。どちらの要望も、相手の努力に期待している点は同じです。
努力に任せる進め方では、担当者が替わると元に戻ります。ズレの原因を個人の資質に置かず、組織の側から見直す視点が要ります。
米国では、ニューヨーク大学スターン経営大学院のスージー・ウェルチ教授らが、約4万5000人を対象に大規模な調査を行いました。対象にはZ世代7,500人以上と、40歳以上の採用マネージャー2,100人が含まれます。
採用側が最も重視した価値観は「成果志向」で、Z世代では11位でした。Z世代の1位は「幸福(セルフケアや余暇)」で、採用側の順位には入っていません。雇用主が最も重視する価値観と一致するZ世代は、わずか2%だったと報じられています。
米国の調査のため、日本企業にそのまま当てはまるとは限りません。それでも、世代によって「仕事で何を大切にするか」の順位が大きく異なる点は、自社の状況を考える手がかりになります。
長時間働いて成果を出し、昇進してきた管理職は、その経験を基準に部下を見がちです。評価項目が「量」や「出社時の姿勢」に偏っていると、若手には基準そのものが納得しにくくなります。
基準を作った世代と、基準で評価される世代が違う。この構造が、評価面談でのすれ違いを生みます。
若手は「聞いても否定されそう」と考えて黙り、上司は「反応がないから興味がないのだろう」と受け取る。互いに確認しないまま、推測だけが積み重なります。
確認の場が日常の業務にない職場では、小さな誤解が数か月かけて不信に育ちます。
「どうせ分かってもらえない」という感覚が広がると、若手は発言を減らし、最低限の業務に絞る姿勢が目立ち始めます。転職を考え始める人も出てくるでしょう。若手の離職については、若手社員が早期に辞める組織の共通点で詳しく解説しています。
指導が伝わらない経験が続くと、管理職は部下との関わりを避けがちです。その姿を見た若手が「管理職は割に合わない」と感じれば、次の担い手も育ちません。詳しくは管理職になりたくない社員が増える組織の問題をご覧ください。
確認や相談が減ると、問題の報告が遅れます。小さな不具合の段階で共有されず、納期直前に発覚する。世代間のすれ違いは、こうした形で業績にも響きます。
世代間ギャップの解消法として、よく挙がるのが「お互いに歩み寄る」「多様性を尊重する」といった呼びかけです。方向性は間違っていません。ただ、実際の職場では次の壁にぶつかります。
呼びかけを実行に移すには、場と手順を人事が用意する必要があります。
まず、思い込みを取り除きます。全社アンケートやヒアリングで、次の2点を世代別に集計しましょう。
集計結果は、管理職にも若手にも同じ形で共有します。ズレの大きい項目が見えれば、次の施策を選ぶ材料になります。
対話の場は、年次や役職が異なる6〜8人で組み、60分程度で設定します。月1回、3か月続けるなど、期間を区切ると運営しやすくなります。
議題は「仕事で大切にしていること」「最近うれしかった仕事の場面」のように、評価と無関係な話題が向いているでしょう。結論を出す場ではなく、互いの前提を知る場だと最初に伝えておきましょう。進行役は人事が務め、発言の偏りを防ぎます。対話の場づくりは、組織の対話不足が引き起こす問題でも取り上げています。
管理職向けに、単発の研修を実施するだけでは定着しません。1on1の冒頭5分で「最近、仕事で気になっていること」を聞くなど、日常業務に組み込める型を渡します。
例えば、「指示の理由を先に伝える」「相談を受けたら、まず最後まで聞く」の2点に絞ると、現場で取り組みやすくなります。
実施後は、人事が管理職から困りごとを集め、次回の対話の場や研修内容に反映します。
評価項目を点検し、時間の長さや出社の様子など、特定の働き方に有利な基準がないかを確認します。成果の出し方が複数あることを明文化し、昇進後の働き方も数パターン示すと、若手が将来像を描きやすくなるでしょう。
例えば、評価面談の項目に「成果の内容」「周囲への貢献」「学びと成長」を並べ、評価した項目を言葉にして伝える運用が考えられます。
3か月ごとに、若手の離職率、エンゲージメントサーベイの上司関連項目、対話の場の参加満足度を確認しましょう。数値が動かなければ、議題や頻度、進行を見直します。
あわせて、人事面談で、若手が上司に感じる負担や、管理職が若手に感じる困りごとの変化も聞き取ります。
世代間ギャップは、調査設計や対話の場の運営に、客観的な視点と専門的なノウハウを要する分野です。社内だけで進めると、利害関係が絡み、本音を引き出せない場面も出てきます。
外部の組織改革コンサルに相談する方法もあります。支援領域や進め方は会社ごとに異なるため、複数社を比較して選ぶのが一般的です。
選ぶ際は、対話を軸にした支援か研修中心の支援か、診断から伴走してもらえるか、費用や期間はどの程度かを見比べます。
職場の世代間ギャップは、若手や管理職の個人の資質だけで起きるものではありません。仕事に求める優先順位の違いや、基準を作った世代と評価される世代の違い、前提を確かめ合う場がない組織の構造が原因になっているケースが多くあります。
解消には、価値観の実態把握、世代を混ぜた対話の場、管理職への実務支援、評価基準の見直しを、人事が連動させて進めることが有効です。とはいえ、社内だけでは客観的な分析や設計が難しい場面もあります。
そこで、組織改革コンサルの力を借りるのも選択肢の一つです。第三者の視点で現状を整理してもらうことで、社内では見えにくかった課題や、優先して着手すべきテーマが明らかになります。
得意とする領域や支援の進め方は、コンサル会社ごとに異なります。自社の課題に強みを持つパートナーを探すために、課題別に厳選した3社の支援内容と実績を、まずは比べてみてはいかがでしょうか。